越谷に帰って自分の店を開く
Uターンで活躍する女性に聞く
越谷市は、1958年11月誕生。ベッドタウンとしての発展は、高度経済成長期、電車で都心へ乗り換えなしでアクセスできるようになったことから。駅周辺部から着々と開発が進み、農地は宅地に変わった。代々、越谷で暮らす地付き人の他、Iターン(都市部から越谷に移住すること)、Uターン(一度、越谷を出て都会で暮らし、再び越谷に戻ること)の人の割合も年々増えている。
今回の越谷「技」博では、自分の「技」を活かし、日光街道沿いに新しく店を構えた女性店主2名が学人を受け入れる。ぜひ、越谷の今を牽引する、きらきらと輝く魅力的な店主の揺るがない感性に触れて欲しい。
素材をつくるおもしろさ、変幻自在の羊毛の魅力
羊毛と古道具の店ソウイ
えはらしほ
羊毛の魅力は種類の豊富さや加工のしやすさはもちろん、素材となる毛糸やフェルトそのものをつくり出せる事と話す店主のえはらしほ。今回の技博では、ウールと人類最古の道具のひとつであるスピンドルを使って糸を紡ぐ講座を行う。普段から行っているワークショップではあるが、今回は色を混ぜることもできるため、つくれる糸は世界に1つだけのオリジナルの糸である。糸を紡ぐ作業は、刃物などを使用しないため、子どもでも安全にできる。普段何気なく着ている洋服などの素材について知り、考え、その素材を作る面白さを感じられる講座となっている。
今年4年目を迎えた「羊毛と古道具の店ソウイ」は、越谷駅から八幡神社を通り旧日光街道に抜ける路地に店を構える。この場所は同級生の家族が営む不動産屋から紹介して頂いたそう。遠方から来るお客様のことを考え、駅近であることは必須条件であった。実際に東京や埼玉など東武スカイツリーライン沿線から来る方が多く、遠くは栃木県や三重県からもソウイを目指してやってくるという。店内には名前の通り、たくさんの種類の羊毛と、羊毛で作られた様々な小物や服飾雑貨と、古道具が並ぶ。ものづくり好きや、古いもの好きにはたまらない空間となっている。
日々の食卓を彩るプロの「技」
北越ぎょうざ
永倉紀子
家庭料理において重要なのは〝簡単〟であること。これは自身も一児の母であり、こしがや愛されグルメにも認定されている「北越ぎょうざ」の店主であるフードコーディネーター・永倉紀子のモットーだ。今回の講座では新鮮な野菜と鶏肉のうまみを存分に引き出す焼き方と、更にソースのバリエーションをつくることで別の料理へ味変させる「技」を学ぶ。どこでも手に入る材料で、誰にでも出来て、それでいて美味しくて見栄えもする。この「技」を使えば家庭での日々の料理で、鶏肉を豚肉に変えるだけ、季節の野菜を焼いてソースをかけるだけで立派なおかずの完成だ。
20代は世界中を旅して現地の料理を味わい、28歳の時にフードコーディネーターとなった永倉。10年は続けようと始めたこの仕事で大手企業のレシピ開発などを数多く手掛け、気づけば20年目を迎えていた。その間にも静岡へ移住し、シフォンケーキとジャムの店を開業し経営していたが、2011年の震災を機に地元の越谷に帰ってきた。母になっていた永倉は自身の経験から忙しいパパとママの力になりたいと、持ち帰り専門の餃子店「北越ぎょうざ」をオープンした。今年5年目を迎えたが、「この4年間の大半は、1人で店を切り盛りしていて本当に大変だった。たくさんの方の応援があって続けてこれた」と話す。そんな永倉には個人店のメニュー開発や開業のサポートに至るまで様々な相談が舞い込んでくる。自分にできること、協力できることは何でもサポートしたい。と笑顔で語る姿が頼もしく感じる。